歯科コラム

普通の歯とどう違う?インプラント施術後の歯磨きのポイント!

2017年12月30日 (土)
インプラント手術は患者さんにとってみれば一世一代の治療になるかもしれません。失った歯を買い取ることができるのと同じだからです。インプラントは現代において歯科治療の最前線治療法で世界でも多くの患者さんを笑顔にしてきました。
インプラントについてのイメージを聞くと多くの患者さんは「一生モノの歯」と答えるでしょう。しかし、一生モノにするにはメンテナンスや患者さん自身で行うセルフケアが必要になっています。セルフケアでは歯磨きが主に大切になりますが、今までの歯磨きと少しやり方が異なります。これからインプラントを検討している人やインプラントを最近いれた人には是非読んでしっかりとお手入れしてほしいです。

歯磨きの方法

歯磨きの方法
インプラントの歯はいつもよりも丁寧に歯磨きをしなければいけません。その際に使用すべき清掃補助器具についてご紹介していきます。

■ワンタフトブラシ
歯ブラシだけでは除去しにくい一番奥の歯はワンタフトブラシというブラシを使用するとよく磨けます。ワンタフトブラシは歯ブラシと異なり毛が一つに塊になっています。広範囲を磨くには適しませんが一箇所だけ重点的に磨くのに適しており、その中でも奥歯の奥の面を磨く際にはよく使用されます。

■歯間ブラシ(デンタルフロス)
歯とインプラントの間の汚れは歯ブラシだけでは除去できません。歯間ブラシやデンタルフロスを使用して汚れを除去しましょう。ちなみに歯ブラシだけでは口の中の汚れは60%程度しか除去できていないので、こうした清掃補助器具はインプラント患者さん以外も積極的に使用していきましょう。

■洗口剤
洗口剤とはマウスウォッシュと呼ばれるものです。殺菌効果のある成分や除菌成分が含まれていて、歯磨きだけで除去できなかった細菌や汚れを落とすことができます。

歯磨き粉と歯ブラシの選び方

歯磨き粉や歯ブラシは現在使っているものでも良いと思っている人が多いですが、それは違います。歯医者が教えるインプラントに優しい歯磨きこと歯ブラシはこれです。

■歯磨き粉の選択
市販の歯磨き粉に多く含まれているのが研磨剤です。研磨剤は歯の表面に付着している汚れを落としてくれる反面、被せ物を細かく傷つけてしまう恐れがあります。また、近年歯磨き粉にフッ素が含まれていることが多いですがフッ素はインプラントにとって悪影響があると報告されました。それがインプラントのボルトに使用されているチタンに対しての影響です。
それなので歯磨き粉を選ぶときは研磨剤が含まれていないでフッ素も含まれていないものを選ぶようにしましょう。

■歯ブラシの選択
歯ブラシは毛先が柔らかいものを選ぶようにしましょう。患者さんの口が小さめの場合は小さなヘッドのものを、大きめの患者さんは中程度のヘッドの大きさの歯ブラシを買うようにしましょう。

手術施術後の歯磨き

手術施術後の歯磨き
インプラント装着後だけでなくインプラント手術施術後の歯磨きの仕方についても少し触れておきます。
手術後は縫合しており、縫合してある部位には血餅という血の塊がみられます。血餅は止血作用や傷口に細菌が侵入しないような働きがあるので除去しないように気をつけましょう。歯ブラシで軽く触れるだけでも血餅が剥がれてしまうこともあります。
手術をした側や周辺は歯ブラシであまりゴシゴシと磨かないように気をつけて下さい。
また、手術とは関係のない歯は健康なので虫歯や歯周病予防で歯ブラシやデンタルフロスを使用して丁寧に綺麗にしておきましょう。
インプラントの手術をした部位に関しては歯磨き等よりも消毒をし、不潔にならないように注意しましょう。

歯の磨き方の違い

インプラントは天然歯(生えている歯)とは磨き方が少し異なります。では一体どのようなところが異なるのでしょうか。

■傷をつけないように
歯は石灰化しています。石灰化しているのは身体の中では歯と骨くらいです。石灰化しているというのは脱灰(溶ける)することもありますが、再石灰化(再び硬くなる)することもあります。そうやって初期の虫歯は再石灰化療法が取り入れられているからです。
歯磨きをするときに少し力強く磨いてしまうと歯の表面が傷つきます。しかし、再石灰化すればその傷も歯に影響のないレベルに戻すことができます。インプラントの最終的な上部構造(被せ物)はセラミックで作られていることが多いです。セラミックとは陶材の事でお茶碗に使用されています。
お茶碗に一度ついた傷は勝手に修復されないのと同じでインプラントの被せ物にも傷がつくと勝手には修復されません。
細かな傷がつくとプラークが溜まりやすくもなるので傷つけないように優しく磨くようにしましょう。

■歯周病のリスク
インプラントは歯がないから歯周病にはならないと思っている人がいますが、インプラントの歯周病と呼ばれる「インプラント周囲炎」があります。せっかくボルトと骨が結合したのにもかかわらず骨を溶かしてしまうのでインプラントをダメにしてしまいます。
インプラントを埋めた部位と歯茎の間を丁寧に優しく磨くようにしましょう。

■丁寧に磨く
傷つけないためにも丁寧に歯磨きをすることが大切です。歯ブラシはペングリップという鉛筆を持つときのようにして持つと余分な力が入らなくて済みます。