歯科コラム

総入れ歯よりオールオン4がおすすめ?メリットは?

2018年08月3日 (金)
歯をすべて失った場合、従来の治療法では総入れ歯となるのが一般的でした。総入れ歯であれば保険が適用されますし、治療法も比較的シンプルです。ただ、総入れ歯にはたくさんのデメリットもあるため、必ずしも最良の治療法とはいえません。そこで、おすすめなのがオールオン4です。ここでは、インプラント治療の一種であるオールオン4について、そのメリットや総入れ歯との違いなどに触れながら詳しく解説します。

オールオン4ってなに?

オールオン4ってなに?
オールオン4とは、インプラント治療の一種で、すべての歯を失った症例に適用することが可能な治療法です。そう聞くと、意外に思われる方も多いかもしれませんね。なぜなら、インプラント治療といえば、チタン製の人工歯根を埋め込んで、1本の歯を回復させる治療法というイメージが強いからです。実際、多くの歯科医院で行われているインプラント治療は、1本の歯を失った症例で適用されていることも珍しくありません。一方、オールオン4は総入れ歯の症例に適用されるインプラント治療ですので、埋め込むインプラントの本数は1本ではありません。

オールオン4では何本のインプラントを埋め込むの?

オールオン4では、その名の通り4本のインプラントを顎の骨に埋め込みます。すべての歯を失った症例に適用されるため、その失った本数分のインプラントを埋め込まなければならないと誤解される人も少なくないのですが、オールオン4の場合は4本で十分なのです。つまり、4本のインプラントで歯列全体を支えるという形になります。

歯根があることで安定性が増す

総入れ歯とオールオン4の違いは、まず安定性にあります。総入れ歯の場合、あくまで入れ歯をその都度、口腔内に装着するだけですので、安定性が悪いです。食事中や会話中に入れ歯がずれたり、極端な例では外れたりすることもあります。一方、オールオン4では顎の骨にしっかりと埋め込まれたインプラント体がありますので、安定性が高いというメリットが挙げられます。これは装着感や使用感ともに、オールオン4の方がすぐれているといえるでしょう。

骨吸収が生じにくい

骨吸収が生じにくい
私たちの骨は、使わないとどんどん吸収されていってしまいます。これは足や手の骨に限らず、歯が埋まっている顎の骨にも同じことがいえます。そのため、実際は骨に埋まっていない総入れ歯だと、どうしても経年的に顎の骨が吸収していってしまいがちです。そうなると、入れ歯自体がフィットしなくなるだけでなく、骨の吸収によって顔貌が変わったり、顎の力が衰えたりすることもあるため、デメリットが大きいといえるでしょう。その点、オールオン4なら4本のインプラント体が顎の骨にしっかりと埋まっていますので、絶えず顎骨への刺激が加わります。その結果、顎骨の吸収を抑えるというメリットを享受することができるのです。

4本で足りない場合は6本にすることもできる

顎の骨や口腔内の状態というのは、人によって大きく変わります。そのため、オールオン4でも、もう少し堅固な土台が必要になる場合は、埋め込むインプラントを6本にすることも可能です。そうすることで、さらに安定性が高まり、噛み心地も向上することでしょう。これは総入れ歯では行うことのできない処置といえます。

見た目が美しい

総入れ歯というのは、装着したことがある人ならわかるかと思いますが、比較的安定性の低い補綴装置です。また、保険適用できることもあり、見た目もそれほど良くありません。もちろん、自費診療にして見た目を向上させることも可能ですが、この点はオールオン4にまさることはありません。なぜなら、オールオン4は土台がしっかりしているので、まず不安定に動揺することがないのです。それだけでも口元に見た目というのは大きく変わります。また、顎の骨に土台となるインプラントを埋め込むことができるため、上部構造の設計も自由に行うことができるのです。その結果として、総入れ歯よりも数段美しい補綴装置が完成します。そのため、審美性についても追及される患者さんであれば、間違いなくオールオン4の方がおすすめといえるでしょう。

機能性と審美性を兼ね備えた補綴装置

機能性と審美性を兼ね備えた補綴装置
噛み心地や良く、審美性も高いのがオールオン4です。一方、総入れ歯は安価で作りやすいというメリットがありますので、治療を受ける際に「なにを優先事項に置くか」によって、おすすめできる治療法も変わってきます。ただ、多くの歯医者はオールオン4をおすすめする可能性が高いです。もちろん、それは歯科医院の方針によっても変わってくることでしょう。

まとめ

オールオン4には、書ききれないほどのメリットがあります。一方、総入れ歯は保険適用が可能なため治療費を抑えられるという点は大きなメリットといえるでしょう。また、オールオン4は高額な反面、4本のインプラントで安定したしあがりになります。総入れ歯は、安価で利用可能な反面、口腔内に粘着させているだけのため、不安定な点がデメリットです。オールオン4と総入れ歯のどちらを選ぶかは患者さんそれぞれの価値観にゆだねられます。そのため、絶対的にすぐれた治療法は存在しないといえるでしょう。さまざまなメリット・デメリットを踏まえたうえで、自分にとって最良といえる治療法を歯医者に相談しながら決めていくことをおすすめします。