歯科コラム

インプラントの寿命とメンテナンス方法

2018年05月24日 (木)
抜けた歯を補うためにインプラントにしたら、装着した人口歯はまるで自分の天然の歯のようによく噛めて、見た目も綺麗でしょう。
しかし、喜んでばかりもいられません。インプラントは人工の物なのです。装着したばかりの綺麗な状態を長く保ち続けるには、メンテナンスなどの努力が必要となります。
歯を失った原因が虫歯や歯周病だった場合は、インプラントであっても安心してはいられません。
そこで今回は、インプラントの寿命とメンテナンス方法を紹介いたします。

インプラントの寿命ってあるの?

インプラントの寿命ってあるの?
インプラントは人工物です。物には何でも寿命があります。インプラントは寿命が長い治療法だといわれています。抜けた歯を補うブリッジや入れ歯と比べると、どのくらい持つものなのでしょうか。
インプラントにして10年経過した場合の残存率は、9割以上という結果があります。インプラントのメーカーでは、10年の保障をつけている物もあります。
きちんとメンテナンスをすれば、10年以上使うことも可能になってくるといえるのです。患者様の中には、40年以上もトラブルなどなくインプラントを使い続けた人もいます。
きちんと歯医者などでメンテナンスをして、長い期間使い続けたいものですね。

また、同じ抜けた歯を補う治療として、ブリッジや入れ歯があります。
ブリッジの寿命は7~8年です。ブリッジは抜けた歯の両隣の歯を削って、3本連結した冠を被せる治療法です。ブリッジと自分の歯の間に隙間があったり、ブリッジと歯ぐきの間に隙間があったりすると、食べ物が詰まって虫歯や歯周病の原因になってしまいます。また、ブリッジは抜けた歯を補うために、2本の歯で3本の歯を支えていることになります。支えている2本の歯が弱っている、噛み合わせの歯と合わない場合は、寿命を縮めてしまうことになるのです。
入れ歯の寿命は4~5年です。入れ歯は使用し続けると、緩くなりすり減ってくるからです。こうした状態で使っていると、歯ぐきに負担をかけて悪影響がでてきます。ですので、長くても5年に1回は新調する必要があるでしょう。また、取り扱いにも注意が必要です。洗浄する時に落としてしまうと、簡単に割れることもあるからです。

インプラントの寿命を延ばす方法!

インプラントの寿命を延ばす方法!
インプラントは自分の歯のように噛むことができ、違和感もなく、残った歯を傷めることなく、取り外して洗浄する必要もありません。そのためには、しっかりメンテナンスをしてインプラントの寿命を延ばしたいですね。そこでインプラントの治療が終わると、歯医者でもメンテナンスのスケジュールが組まれることになります。主にどんなことを行うのか、紹介いたします。

■歯科医師のケア
インプラントの寿命を延ばすには、治療後のメンテナンスがとても大切です。通常は、3カ月に1回のペースで定期検診を行います。上部構造が外せる場合は、1年に1回はとり外してメンテナンスを行います。定期健診でやることは、視診、触診、歯周ポケットの測定、口腔内全体の状態を観察、必要があればエックス線検査も行います。また、歯垢(プラーク)や歯石の有無や状態、周辺粘膜の腫れが無いか、噛み合わせの状態、上部構造の破損が無いかを確認します。特に重要なのは、インプラント周囲炎の症状を見逃さないようにすることです。インプラント治療をした後も、歯医者には定期的に通う必要があるので、通院しやすい歯医者を選ぶことも大切になってくるでしょう。

■歯科衛生士のケア
歯科衛生士は、お口の健康管理を行う国家資格を持ったプロです。自分で歯磨きなどのケアをするには限界があります。どんなに正しいケアを行おうと思っても、時間が経つと自己流の磨き方に戻ってしまうものです。そのため、歯科衛生士の手によってPMTCなどの機械を使って歯を磨いてもらいます。定期的に、細菌の塊であるバイオフイルムなどを除去してもらう必要があるのです。

■自分でケア
天然の歯とインプラントでは、歯の周りの組織が異なります。天然の歯であれば、歯の一番外側のエナメル質の下のセメント質が、細菌の侵入を防いでくれる役割をしています。インプラントは、その機能がなく、歯肉の内部とインプラント表面がひっついているだけです。ですので、天然の歯以上にインプラント周囲を清潔にしないと、細菌が繁殖してインプラント周囲炎などになってしまう可能性があるのです。
自分でするケアとしては、歯ブラシがメインになってきますが、より小さい隙間を細かく掃除するためには、歯間ブラシやデンタルフロス、ワンタフトブラシの併用が欠かせません。
よく歯磨きは何回した方がいいのか聞かれることがありますが、起床後と食事の回数だけ歯磨きするようにしてください。

自分の歯磨きに自信が無いときには、歯垢染色剤(プラークチェッカー)を使ってチェックする方法があります。歯に歯垢が残っていると赤く染め出されるので、一目瞭然です。
毎日行う自分でのケアをしっかりとして、インプラントの寿命を延ばしたいですね。