1本のインプラントで入れ歯の噛み心地を改善できる「オーバーデンチャー」
2018年03月31日 (土)
入れ歯というのは、自然の歯と異なり、食べ物を噛む力が弱くなってしまうというような特徴があります。しかし、「オーバーデンチャー」という治療法は、たった一本のインプラントで噛み心地の悪さを改善することができるのです。噛み心地が良くなれば、好きなものを食べることができるようになり、全身の健康へも良い影響を与えることになるでしょう。また、すべてインプラントにしてしまうと高額になってしまいますが、「オーバーデンチャー」であれば、費用も抑えられます。外科的な手術が少ないために、体への負担も最小限に減らすことが可能です。それでは、その「オーバーデンチャー」とはどのようなものなのか説明していきましょう。
オーバーデンチャーとはなにか
オーバーデンチャーというのは、数本だけ残った歯の根やインプラントを支えにして、取り外し可能な総入れ歯を固定させる治療法です。一般的な総入れ歯は歯茎だけで支えるために、食事のときにズレたり食べ物が挟まるなどの問題があります。それにより、痛みやかみ心地の悪さに繋がってしまいますが、オーバーデンチャーで歯茎と総入れ歯をしっかりと密着させ固定すれば、そういった問題は解決されるでしょう。
オーバーデンチャーはどんな人におすすめ?
現在、入れ歯を装着している方で、「入れ歯が外れやすい」「入れ歯がガタつく」「しっかりと噛むことができない」「入れ歯を使用していると痛みがでやすい」というような悩みを抱えている方は、ぜひオーバーデンチャーを検討してみてください。また、インプラントをしたいけれど、費用が高額なため治療を行うことができないというような方や、インプラントのような外科的手術は最小限に抑えたい、というような方にも適しています。インプラントの治療を最小限に抑えることのできるオーバーデンチャーは、患者さんの負担を減らすことができるために、高齢者の方にもお薦めの治療法と言えるでしょう。
オーバーデンチャーを装着する流れ
入れ歯の作製までは、一般的な入れ歯と同じ流れとなっていますが、土台を作る工程があります。では、その流れを解説していきましょう。
■口内に問題がないかチェック
まず、お口の状態のチェックです。レントゲン、CTを用いて歯の根の状態や、顎の骨を検査していきます。また、金属アレルギーがないか、歯茎や粘膜の健康状態はどのようなものかなど、しっかりと検査を行っていきます。もし、歯周病などの問題があった場合には、その治療を優先させることになります。
■土台作り
ここで、インプラントの埋入手術を行っていきます。インプラントの土台を埋入した後は、インプラントの先端に金属上のキャップを被せていきます。インプラントの数は、お口の中の状態によって変わっていくことがあります。
■歯型作り
上下の歯型を取り、それを元に石こうで歯型を作製していきます。そして、入れ歯が完成すれば装着した際に噛み合わせに問題がないかをチェックして、調整を行っていきます。
■完成後のお手入れ
オーバーデンチャーというのは、インプラントと入れ歯の両方のお手入れが必要となります。ですので、歯医者さんからのお手入れの指導をしっかりと受けて、お手入れを行ってください。
オーバーデンチャーの種類
オーバーデンチャーには3つの種類があり、固定する部分の形状の違いから使い分けられています。
■ボールタイプ
入れ歯と接する土台の先端がボール状になっています。入れ歯側の金属に、ぴったりと合う金属を付け、ホックのように取り外しができるタイプです。
■バータイプ
埋め込まれた2つの土台をバーで接続し、それをクリップで挟むように歯側に装着します。これは、強固に連結されるタイプですので、ご自身では外しにくい装置になっています。
■磁石タイプ
土台の先端に磁石を引き寄せる金属を装着し、入れ歯側に磁石を埋め込んでいきます。入れ歯を乗せると自動的に磁力で引き合い、固定することが可能になっています。ご自身で取り外すことが可能です。
オーバーデンチャーのメリットとデメリット
メリットとしては、入れ歯が安定ししっかりと噛めるということです。また、通常のインプラントの場合は、1本に1つの土台を必要としますが、オーバーデンチャーであれば1本のインプラントで数本の歯を補うことができるために、外科的な手術が少なく済むというようなことがあります。そして、オーバーデンチャーは、乗せるだけの入れ歯に比べて刺激が骨にきちんと伝わっていくために、顎の骨の退縮を抑制するといったような効果もあるのです。一方デメリットとしては、一般的な総入れ歯と異なり、外科的な治療が必要になるということです。また、噛む力が強くなるために、入れ歯が割れたりすり減ったりする可能性もあると言えます。また、インプラントと総入れ歯の両方のお手入れが必要になるというようなデメリットも含んでいます。