歯科コラム

インプラントの寿命を短くしてしまう原因とは?

2017年11月7日 (火)
自然歯を失った人にとって、第2の永久歯と言われるのがインプラント。インプラントは歯科治療後の寿命は10年と言われていますが、人によっては、10年を持たずにインプラントがダメになってしまうことがあります。インプラントの治療は、例外を除いて保険が適用されないため、歯科治療の中でも高い治療費がかかります。せっかく治療したインプラントがダメになってしまうのは、とてももったいないことです。今回は、インプラントの寿命を長持ちさせたいと考えている方に、インプラントがダメになってしまう原因をご紹介したいと思います。

インプラントの寿命はほかの治療法よりも長い?短い?

インプラントの寿命はほかの治療法よりも長い?短い?
インプラント治療は入れ歯やブリッジ治療と同じように、自然歯を失った方への治療法として、インプラント体を歯肉に埋め込み、人工歯をかぶせる方法です。ほかの治療法と大きく違う点は、耐久性や耐腐食性に優れており、非常に硬くて丈夫な金属であるチタンを埋め込むので、長持ちしやすいということです。さらに、上にかぶせる歯も耐腐食性があり溶けにくいセラミックを使用していることで、治療後も劣化しにくく長く使用できる素材を使っていることも特徴として挙げられます。
インプラント治療の寿命は、他の治療法と比べると長く使用できます。よく、インプラント10年保証というキャッチコピーを掲げている歯医者さんを見かけることがあります。しかし、インプラントの場合は治療後の残存率が10年で90%以上に対し、ブリッジの場合、残存率は8年でおよそ50%、入れ歯の場合、残存率はおよそ40%という結果が出ています。このことから、ほかの治療法に比べると寿命が長い治療法と言えます。

インプラントの寿命が短くなってしまう原因とは?

インプラントの寿命が短くなってしまうには大きく分けて2つの原因が挙げられます。
まず、インプラント自体の破損です。インプラントで使用する人工歯はセラミックという硬くて丈夫な素材でできていますが、硬い素材は欠ける可能性もあるため、非常に強い力がかかったりすると、欠けたり割れたりすることもあります。特に、歯ぎしりや食いしばりをすると、最大で100キロ以上もの力がかかるといわれており、人工歯やインプラント体がその大きな力に耐えられないと破損してしまうことがあります。食べ物を噛むくらいでダメになることはありませが、意識的にインプラントの人工歯で強く噛みちぎったりしないように注意しておくことが大切です。
もう一つが、インプラント周囲炎と呼ばれる症状です。インプラント周囲炎とは、インプラントの周りにある歯肉における歯周病を指す症状で、インプラントを支える歯肉に細菌が付着して感染を起こすと、歯周病と同じような症状がおこります。最悪の場合、インプラント体を支える部分がダメになってインプラントが抜け落ちてしまうことがあります。
特に注意が必要なのが喫煙者の方です。タバコを吸うと口腔内の免疫力を低下させ、口腔内の感染症リスクを高めてしまいます。その結果、インプラント歯周炎をはじめ、口腔内の病気にも感染しやすくなり、自然歯やインプラントをダメにしてしまうリスクも高まります。インプラントの場合、自然歯とは違い歯自身の抵抗力がないため、細菌への耐性が弱いというデメリットがあります。自然歯よりもインプラント周囲炎という歯周病への影響も受けやすいという特徴があるので、口腔内の病気やケアを定期的に行わなければなりません。

インプラントを長持ちさせるためにはどうしたらいい?

インプラントを長持ちさせるためにはどうしたらいい?
インプラントを長持ちさせるためには、歯医者さんで定期的にメンテナンスを行うことです。インプラントの治療後には、元の自然歯のように戻った感覚になるため、その後の治療や特別なケアはもう必要ないと思ってしまう方もいるようです。しかし、定期的な検診やクリーニングを怠っていると口腔内の病気がどんどん進行してしまうことがあります。そのため、多くの歯医者さんがインプラントの長期保証として、通院による定期的なケアを条件にしています。ケアの内容は、治療後のかみ合わせの調整や歯周病のチェック、歯と歯茎のクリーニングです。インプラント治療後3年以内は3ヶ月に1回程度、その後は半年に1回程度のケアを行います。ただし、こうしたメンテナンスもインプラント治療の一部になり保険適用外になります。クリーニング1回につき約5000円かかりますが、定期的にチェックしてもらうことで早期の病気発見や感染に気付いて進行を防げますので、欠かさずケアを行うことが大切です。

インプラントを長持ちさせる一番大切なこととは?

せっかく入れたインプラントがダメになってしまっては、インプラントに使った治療費が水の泡。それこそ、お金をドブに捨てたようなものです。そんなことにならないためにも、インプラントも自分の歯と思って大事にケアすることが、長持ちさせる1番の秘訣です。インプラントだからといって歯磨きを怠ったり歯医者さんで検診をしないでいると、10年もつインプラントが数年でダメになってしまうこともあります。そのため、日ごろの歯磨きでも磨き残しがないかを今まで以上に入念にチェックしてみるようにしてみましょう。