アマルガム除去
■ アマルガムとは?
アマルガムとは、水銀と他の金属との合金の総称を言います。歯科にも「歯科用アマルガム」というものがあり、通常「アマルガム」と呼ばれています。
アマルガムは1970年代頃をピークに、奥歯の虫歯の治療の際に銀歯としてよく使われていました。アマルガムは「操作が簡単」、「材料費が安価」、「物理的強度に優れる」、「強い抗菌性を持ち虫歯の発生を抑える」、というような優れた性質を持っています。それゆえ、アマルガムは1826年にフランスで使われだして以来、歯科界で150年以上も使用されてきました。
ですが、近年、水銀の環境汚染に対する影響、金属アレルギーに代表される生体への健康被害などが危惧され、現在ではほとんど使用されることはなくなりました。
■ あなたのお口の中にありませんか?
アマルガムが入っていないか、お口の中を鏡で見てみましょう。もしも40代以上の方で、お口の中に数十年前に治療した黒ずんだ銀歯の詰め物がある場合、それはアマルガムの可能性があります。アマルガムの治療がなされているのはほとんどの場合、奥歯の噛む面ですが、稀に上の前歯の裏側に詰められている場合もあります。下の奥歯だと見えやすいですが、上の奥歯や前歯の裏側に詰められている場合そのままだと見えないので、小さな鏡を口の中に入れて、それを大きめの鏡に写し出して確認してみると良いでしょう。
アマルガムは物理的性質に優れ、数十年経っても虫歯になっていない場合も多いことも珍しくありません。そのため、それまでこまめに歯科医院に通院していた人でも、「異常なし」ということで、これまでわざわざアマルガムだと指摘されていないケースも多いものです。たとえ詰め物が虫歯にならずにしっかり持っていたとしても、それがアマルガムである場合、健康に悪影響を起こす可能性は否定できませんので、そのまま放置することはおすすめしません。
■ その体調不良の原因かもしれません
近年、アマルガムなどの歯科用金属が、体に様々な悪影響を及ぼす場合があるということが明らかになってきました。お口の中は、常に唾液や飲食物の刺激、噛む刺激にさらされています。
このようにして金属はだんだんと体内に溶け出し、それはやがて体内のあちこちに蓄積されていきます。それがやがて金属アレルギーを引き起こし、口の中だけでなく、身体中の皮膚に原因不明の湿疹やかぶれなどを引き起こすことが分かっています。
そして金属の中でも、特に神経毒性の高い水銀に至っては、頭痛、慢性疲労、原因不明のイライラ、体の痺れ、めまい、うつ病などを引き起こすとされています。口とは全く関係ない場所の不調が、実はお口の中のアマルガムが原因だったと言うケースは、実際決して珍しくないのです。
■ アマルガム除去による効果
お口の中からアマルガムを除去することで、金属アレルギーと思われる体のあちこちに現れていた湿疹やアトピー、水疱のような謎の皮膚症状が改善される方は多く見られます。また、金属アレルギー症状がない場合でも、全身の様々な不調、例えば、頭痛、肩こり、慢性疲労、めまい、冷え性、イライラなどが改善されたと言う方は後を絶ちません。
お口の中の銀歯が、まさか体の不調の原因になっているとはなかなか想像しにくいかもしれません。しかし、実際に体内に蓄積した金属、特に水銀のような毒性の高い金属が体に与える影響というのは決して軽視できるものではないのです。
■ アマルガム除去の流れ
■ 最後に
アマルガムの診断
詰めものがアマルガムかどうか、というのは歯科医師が見ればたいていの場合、すぐに見分けがつきます。ですが、一部のケースでは判別がつきづらい場合もあります。そのため、アマルガムかどうかを正確に判断するために「水銀ガスメーター」という機械を使用し、詰め物から放出される水銀ガスの濃度を調べ、アマルガムかどうかをしっかりと判断してから安全にアマルガムを除去する必要があります。
除去時期
アマルガムが有害だからと言って、すぐに削り取るのは危険を伴う恐れがあります。アマルガムを除去する際には水銀が蒸気化し、それが体内に吸収されてしまうリスクがどうしてもあるからです。そのため、体の解毒機能に問題がないか、妊娠、授乳中ではないか、ということなどを考慮した上で、体に悪影響をなるべく及ぼさないタイミングで慎重に除去時期を決める必要があります。