歯を1本失っても、他の歯が残っているので大して不便でもないだろうと思われがちですが、実は大変なことなのです。歯が抜けたところには、隙間ができます。すると、周りの歯が少しずつ動いてしまうのです。そうすると、噛み合わせがおかしくなり、筋肉や関節にストレスがかかります。そのストレスは、頭痛や肩こり、腰痛、イライラするなどの症状を引き起こすことがあるのです。
そこで、抜けた歯の治療を考える時には、ブリッジ、入れ歯、インプラントの選択肢があります。これらは、どうやって選んだらいいのでしょうか？
今回は、入れ歯やブリッジ、インプラントについて詳しく紹介いたします。

冒頭でも少し触れましたが、歯を失うと隣の歯や噛み合わせの歯、歯並び全体が動いてきます。人間の歯は、噛んだときに髪の毛1本でも感知するくらい鋭敏にできています。今までバランスを取ってきた噛み合わせがずれると、髪の毛1本どころのずれではありませんよね。身体全体に不快な症状を引き起こす可能性があるのです。
ですので、今まで通りの噛み合わせのバランスを保つために、なんらかの人口の歯を入れることになるのです。
また、抜けた歯を放置しておくと、残っている歯に負担をかけてしまいます。今までの噛み合わせでバランスを取って噛む力を分散させていたのに、どこかに歪みが生じ、負担がかかるようになるのです。長い間歯に負担をかけ続けると、健康な歯でも割れてしまうことがあるのです。
そうならないためにも、ブリッジ、入れ歯、インプラントのいずれかを選択して噛み合わせのバランスを取り、残っている他の歯の負担を減らすことが必要なのです。

ブリッジは、歯が1本抜けるとその両隣の歯を利用して橋渡しにして、3本の歯がくっついている冠を被せる治療のことです。ブリッジのメリットは、手軽でスピーディーなところです。治療は、両隣の歯を削り、型を取ると、1週間もしないうちに出来上がります。
しかし、ブリッジのデメリットは、この両隣の歯を削るということです。虫歯もない健康な歯でも、大量に削らなければなりません。歯を削るとエナメル質の下にある象牙質が露出します。象牙質には、神経とつながっている管がたくさんあります。風をかける、洗うなどすると神経が刺激されて、しみることや神経が死んでしまうことがあるのです。
また、ブリッジはもともと3本の歯があったところを2本の歯で支えることになります。その分1本の歯にかかる力が大きくなります。2本の歯がそれぞれ健康であればいいのですが、歯が小さい、歯周病のため支える骨が少ないなどの問題がある場合は、荷重オーバーになり、歯がグラグラしてくることもあるのです。

抜けた歯が多くてブリッジにするのは難しいと、入れ歯を検討することになります。入れ歯のメリットは、ブリッジやインプラントのように適応が限られることがありません。どんな場合でも、どんな人でも作れるところだといえます。入れ歯は意外と簡単に作れるところもメリットです。
デメリットをあげると、入れ歯の構造は人工歯だけではなく、噛む力を歯肉に伝える土台の部分、部分入れ歯の場合は金属の部品などがあり、抜けた歯を補う割には大きさがかさばります。そのため、とても違和感があり、邪魔になる、かっこ悪いと敬遠されるのです。
また、入れ歯で物を噛む時は、歯にかかる圧力を歯肉にも負担させています。そのため、歯肉が少し潰れることになります。かかる圧力が均等に分散されていれば問題がありませんが、部分的に強い圧力がかかると、するどい痛みがでてくるのです。入れ歯が痛くて食事ができないということになってしまうのです。
また、最初はきちんと合っていた入れ歯でも、時間が経つと噛む圧力のせいで歯肉と骨の形が変わり、隙間ができるようになります。そして、入れ歯がだんだん合わなくなっていくのです。

インプラントは、抜けた歯のあったところに、そのまま置き換わるように人口歯根を埋めることで、人口歯ができます。インプラント自体が単独で機能するので、周囲の歯に負担をかけることがありません。ブリッジや入れ歯のデメリットを補うことができるのです。
また、構造自体が自分の歯に近く、違和感もなく、健康な歯を削って犠牲にすることもありません。
噛む力もとても強く、天然の歯の噛む力を100とすると、入れ歯は10～30ですが、インプラントは80～90もあるのです。せんべいやするめなどの硬い物でも、普通に食べることができます。
また、ブリッジをすることができない一番奥の歯にも治療でき、入れ歯のように毎晩外して洗浄する手間もありません。
インプラントの治療に伴う痛みも、特殊なケースでなければ歯を抜く程度なので、高齢者でも十分に耐えられます。
インプラントは、残っている歯や歯ぐきを大切にする治療法といえるのです。
インプラントについて詳しく知りたい場合は、一度歯医者で聞いてみると良いでしょう。