インプラントは、歯を失った人に対する治療法です。通常のインプラントが1本の人工歯根に対して1本の人工歯を支えるのに対して、オールオン4は4本の人工歯根で10～12本の人工歯を支える治療法です。
オールオン4に向いている人、向いていない人がいますので、紹介いたします。

インプラントは顎の骨に金属の人工歯根を埋め込んで作る人工歯です。インプラントを埋め込むには、顎の骨がしっかりとあることが条件になります。
歯を失うと、失われた時点から骨が体内に吸収されていくのです。抜けたままにしていても、入れ歯で補っても、骨の吸収はされるのです。
なぜならば、歯がある時は噛む力が骨に伝わり、骨に刺激が伝わることで、古い骨を壊して新しい骨を作る活動をしているからです。これは毎日行われ、骨が完全に生まれ変わるには2年のサイクルがかかります。
しかし、歯を失うと骨にかかる刺激がなくなってしまいます。そうすると骨は生まれ変わる活動を行わなくなり、骨が体内に吸収されてしまうのです。
これは、歩かなくなると足腰が弱るのと同じ現象といえるでしょう。
インプラントを埋め込むには顎の骨がしっかりあることが条件となります。しかし、全ての骨が残っている人は少ないです。また、歯以外の健康状態も大切です。高血圧や糖尿病、骨粗しょう症の人はインプラントにするのが難しいこともあります。

オールオン4に向いているのはどんな人なのでしょうか？

■歯が1本も無い人
オールオン4は、歯が1本も無い人に対して考え出された治療法です。4本の人工歯根で10～12本の歯を全て支えます。
歯が1本も無い人でも通常のインプラント治療はできますが、オールオン4の方が向いているのです。
なぜならば、歯を失った時点で体内に骨の吸収が始まるので、インプラントのように人口歯根1本に対して1本の人工歯にしようと思うと、骨が十分に足りないことがあるからです。骨を移植することもできますが、手術時間が長く体に負担を強いられます。オールオン4であれば、4本の人工歯根を埋め込めば良いので、骨の状態が良いところを選んで埋め込むことができるのです。そのため、通常のインプラントと比べて、費用の面でも差が生まれます。

■総入れ歯が合わない人
オールオン4は、総入れ歯が合わない人にはぴったりの治療法です。
総入れ歯は、使っていくうちに顎の粘膜や骨が痩せてきて合わなくなっていきます。合わない入れ歯は、食べるたびに痛みと苦痛を伴います。
また、総入れ歯の噛む力は、天然の歯で噛む力を100とすると、10～30ととても弱い力です。そのため、せんべいやスルメなどの硬い物や繊維の多い肉は噛み切ることができません。
しかし、オールオン4にすると噛む力が80～90になり、天然の歯とあまり変わらないので、食事を楽しむことができるのです。
また、入れ歯は食事をする、くしゃみをするなどの衝撃でパカッと外れてしまうことがあります。そうなると、突然会話もままならなくなりますよね。オールオン4だと外れる心配も少なくなります。
また、総入れ歯は抜けた歯の全体を覆う造りで、かなり大きいです。口にいれると違和感があり、気持ち悪くて吐き出しそうになります。オールオン4だと天然の歯に近いので、そのようなことも起こりません。
また、総入れ歯は外して洗浄しなくてはなりません。次の日の朝になると、どこに置いたか分からなくなることもありますよね。オールオン4は自分で外す必要がないので、出かける時に歯がどこにいったか分からないと探し回る必要もなくなるのです。

■よく人前に出る人
通常のインプラントであれば、金属の人工歯根を埋め込んでから顎の骨とつながるまでに数カ月かかります。その間は歯が無いことになります。歯が無いと営業などの仕事では会話や食事に不便ですよね。
オールオン4であれば、手術したその日に仮歯をつけることができます。すぐに歯ができるので、人に会ってもインプラントの手術をしたことを気づかれずに済むのです。

オールオン4は、歯が1本も残っていない人に対する治療です。健康な歯が残っている人がオールオン4にしようと思ったら、抜歯する必要があります。
健康な歯があるのであれば、1本でも多く残したいですよね。
したがって、健康な歯が残っている人はオールオン4に向いていないといえるのです。
また、オールオン4でもインプラントでも口に人工物を入れることになります。見た目は天然の歯と変わらないように見えますが、天然の歯に勝るものはありません。
天然の歯以上に歯や歯ぐきのケアが必要になってきます。歯医者で定期的なメンテナンスも欠かせません。そうしないとインプラント周囲炎といって、歯周病のような症状を起こしてしまうからです。定期的に歯医者に通う、自分でしっかりケアすることが難しいという人には、オールオン4は向いていないといえるでしょう。