歯科コラム

インプラントを長持ちさせる!歯磨きのポイントと注意点

2018年02月28日 (水)
せっかく入れたインプラント、どうせなら一生使用し続けたいですよね。不十分な歯磨きではインプラント周囲炎を引き起こし、インプラントを抜かなくてはいけなくなる可能性もあります。今回は、インプラント治療を受けた方は、どのような歯磨きを行えば良いのか、そのポイントと注意点についてご紹介させていただきます。

歯ブラシ以外の補助用具も使用しよう!

歯ブラシ以外の補助用具も使用しよう!
インプラント治療を受けた方は、今までの歯磨きよりも細かく歯磨きを行う必要があります。注意点として、インプラントは「上部構造」と「インプラント体(骨の中に入っているネジ)」からなります。上部構造と呼ばれる擬似歯を綺麗にするのではなく、上部構造とインプラント体の繋ぎ目の部分を綺麗にしなくては意味がありません。

そのためには、通常の歯ブラシ以外にも補助用具を使用して、繋ぎ目の部分もきちんと磨かなくてはいけません。

■1本毛の「ワンタフトブラシ」
1本毛でブラシの先端が尖っているタイプのワンタフトブラシであれば、上部構造と歯茎の境目部分をピンポイントに磨くことができます。無理に上部構造と歯茎の間にブラシの先を押し込まないようにしましょう。歯茎が退縮してしまい、見た目が悪くなる可能性があります。
鉛筆持ちで上部構造と歯茎の境をなぞるように優しく磨きましょう。

■インプラント専用の「スーパーフロス」
インプラント専用のフロスは通常のフロスとは違い、中心部分が柔らかく太い構造になっています。ブリッジタイプのインプラントや上部構造が大きく、インプラント体が細い構造のインプラントだと、普通の歯ブラシやタフトブラシでも磨き残しが出てしまいます。そういった構造のインプラントが入っている方は、「スーパーフロス」を使用すると良いでしょう。フロスを使用するときに「コンクールF」を塗布して清掃すると、より効果的に清掃することができます。

■電動歯ブラシも使用可能
インプラントは、電動歯ブラシを使って歯磨きをすることができます。少し高価な電動歯ブラシであれば、手磨きよりも綺麗に磨くことができます。また、小さめのブラシを使うことで歯と歯茎の境目をきちんと磨くことができるので、手磨きではどうしても磨き残しがあるように感じる方や小刻みに動かしながらの歯磨きができない方におすすめです。

ただ、電動歯ブラシだけでも不十分ですので、きちんと上記のような補助用具は使用するようにすることが重要になってきます。

フッ素入り歯磨き粉がインプラントをだめにする?

チタン製のインプラントの場合だと、フッ化物配合の歯磨き粉を使用すると、インプラントが低濃度のフッ化物で腐食する可能性があると言われていました。ですが、最近の研究により、フッ素配合歯磨き粉が腐食を起こすpH4.7以下の酸性の状態では歯磨きを行えない口腔環境のため、フッ素による腐食は起こりにくく、フッ素を使用しないことで虫歯になるリスクのほうが増す危険性あることが示唆されています。

インプラント専用のフッ素無配合の歯磨きジェルも販売されていますが、虫歯によるリスクが高い方は、フッ素配合のものを使用して歯磨きするほうが良いかもしれません。

研磨剤入りの歯磨き粉は避けたほうがよい

研磨剤入りの歯磨き粉は避けたほうがよい
歯磨き粉のペーストを舌で触るとザラザラする舌感のものがあるかと思います。そういった研磨剤や清掃剤といった類の顆粒の多い歯磨き粉は、インプラント治療を受けた方には適していません。

顆粒が上部構造と歯茎の間に挟まって、長時間残ったままになってしまいます。そうなると「インプラント周囲粘膜炎」を引き起こしてしまいます。ひどくなると「インプラント周囲炎」に移行するケースもあります。

インプラント治療を受けた方は、研磨剤や清掃剤として顆粒の配合されている歯磨き粉は避けて、歯磨きジェルや研磨剤不使用のものを使用するようにしましょう。

■虫歯や歯周病予防に効果的なマウスウォッシュもおすすめ
歯磨きの仕上げにマウスウォッシュを使用することもおすすめです。どういった理由でインプラントを入れたのか(歯周病がひどい、虫歯が深くなりすぎて等)、原因を明らかにして他の歯がインプラントにならないように対策をする必要があります。
今までは使用していなかった器具や洗口剤等も、インプラント治療を受けたのを機に使用するようにしましょう。

歯医者で定期的なメンテナンスも重要

セルフケアをきちんと行っていても、どこか見落としがある場合もあります。定期的なメンテナンスで、歯磨きの仕方や器具の使い方等をきちんと学ぶようにしましょう。歯医者でインプラントの調整も行えば、インプラント周囲炎の危険性を減らすことができます。また、他の歯がインプラントになる危険性も減らすことができます。

定期メンテナンスを受けていれば、何かあったときに保証制度を使うことができるので、インプラントを長期間使用し続けることが可能になるのです。